Man-Computer Symbiosis
J. C. R. Licklider, Man-Computer Symbiosis , The New Media Reader, The MIT Press, 2002, pp.73-82 J・C・R リックライダー 「ヒトとコンピュータの共生」
初出
IRE Transactions on Human Factors in Electronics, HFE-1:4-11. March 1960. Reprinted in Digital SRC Research Report 61, 7 August 1990.
邦訳
西垣通編著訳,1997,『思想としてのパソコン』NTT出版.ISBN: 9784871884976
Further Reading
- Hafner, Katie, and Matthew Lyon. Where Wizards Stay Up Late: The Origins of the Internet. New York: Touchstone Books, 1998.
- Licklider, J. C. R. "Topics for Discussion at Forthcoming Meeting," Memorandum, 23 April 1963. MIT Institute Archives.
- Licklider. J. C. R., and Welden Clark. "On-Line Man Computer Communication," Proceedings Spring Joint Computer Conference 21:113-128. May 1962.
イントロダクション
コンピュータは幅広いプロジェクトで使用でき、コンピュータ間の通信は送信者と受信者の間の一方通行のチャネルではないと考える。
コンピューターは最初は軍隊で使用されましたが、学習も役立つと考える。
コンピュータは人間と機械の共存という観点から通信装置として存在することができますが、通信は送信者と受信者の間の双方向チャネルであり、人と人との間の高速で低遅延の通信を効果的に実現できると思う。
概要
人間とコンピューターの共生は、人間と電子コンピューター間の協調的な相互作用の予想される発展と考える。 これには、人間と電子デバイスとの間の非常に密接な結合が含まれる。
人間は、目標を設定し、仮定を策定し、基準を決定し、評価を行う。 コンピューターは、技術的および科学的思考における洞察と意思決定のために人間を準備する日常的な作業を行う。
1章
近い将来、人間の脳とコンピューターが密接に統合されると信じる。
多くの場合、人間と機械の共生の概念は、機械の機能強化の概念と混同される。人間と機械の共生は、人間に取って代わるのではなく、人間がタスクを完了するのを助ける。
今のコンピューターは、一部の限られた分野で人間の脳を凌駕することができ、遠い将来には機械が支配すると考える人もいる。しかし、コンピューターが高性能を達成するには非常に高い制約が必要であり、人間の脳の考え方を完全に置き換えることはできないと思う。
2章
今日のコンピュータは、主に、あらかじめ設定された問題を解決したり、あらかじめ決められた手順に従ってデータを処理したりするように設計される。 計算は、計算中に得られた結果に依存する場合がありますが、すべての代替案を事前に予測する必要がある。
共生ロボットには、「リアルタイム」で実行できる思考プロセスが必要する。
従来のロボットは、事前に設定されたプログラムに従ってデータを処理できますが、事前に設定すると、不測の事態が発生するとプロセス全体が停止する。あらかじめ決められたプログラムに頼らずに、機械が複雑な状況を判断して制御できるようにすること、人間のように素早く考えられるようにすることが、今求められていることだと思う。
3章
いくつかの実験を通じて、人々の「考える」時間の 85% は、考え、決定を下し、知るべきことを学ぶことに費やされていることがわかる。 情報を消化するよりも、情報を探したり取得したりすることに、はるかに多くの時間が費やされる。
しかし、これらの操作はコンピュータにとって非常に単純なものであり、人間の代わりにコンピュータを使用してこれらのタスクを完了することができると思う。適切な制限を加えれば、コンピュータはタスクを迅速かつ効率的に完了することができる。
4章
人間とコンピューターの操作が完全に混ざり合い,両者を明確に分離することが難しくなると考えている.しかし,人間とコンピューターによる操作をある程度分離可能なオペレーションもあると考える.
その場合,初期段階ではまず人間がゴールを設定し動機付けを行い,仮説を立てる.それをコンピューターが判断し,一般的な思考に導いていく.
5章
非共生的な現状と期待される共生的な未来との間には,実はいくつかのハードルが存在すると考えられている.
人間とコンピュータの共生を考えるとき,情報は名前とパターンの両方によって取り出し可能であること,そして,直列検索よりもはるかに速い手順でアクセス可能であることが暗黙の要件となる.記憶装置に関する問題の少なくとも半分は,記憶手順にあると思われ,残りの大部分は、記憶機構や記憶媒体内のパターン認識の問題にある.有望なアイデアの1つであるトライ・メモリーがある. 次に,言語の相違は、真の共生を阻む最も深刻な障害であると考えられる.しかし,人間は機械語に容易に翻訳可能な標準的な表現形式を採用することによって,その柔軟性を証明しているが,人間とコンピュータがリアルタイムで協力するためには,コミュニケーションと制御について,さらに別のかなり異なった原理を利用することが必要であると考えている.
最後に,人間とコンピュータの共生を考える上で,最も遅れていると思われるのが入出力装置,つまり人間の操作側から見たディスプレイやコントロール装置を扱う部門であると主張している.
参考文献
- J.C.R. Licklider and Robert W. Taylor. The Computer as a Communication Device. Reprinted from Science and Technology, April 1968.